カプコンは日本のゲーム会社の中でトップクラスの評価を受けているゲームメーカーです。コンシューマー機向けのソフトラインナップが非常に強力。
特にバイオとモンハンの両IPは新作リリースのペースが早く、最近のナンバリング作は開発費の回収を超えて売れ続けているロングセラーばかり。
バイオはシリーズ初期から世界中で人気でしたが、モンハンに関してはワールドが転機になりました。高品質タイトルを次々に投入することで、最近はカプコンの新作というだけで注目されるようになってきています。
また、バイオ7で初めて採用されたREエンジンも注目すべき好調要因でしょう。REエンジンが本格化して以降、カプコンの開発力は明らかに上がっています。
徐々にグローバル市場での存在感を増していった、近年のカプコンの軌跡をたどってみようと思います。
2014年【PS4 1年目】
カプコンがリリースした主要なタイトルを年ごとにまとめていきます。日本でPS4が発売された2014年から追っていきます。
カプコンに限らず日本のデベロッパーではよくあることですが、年度末に大きなタイトルがねじ込まれがちです。戦国BASARAの最後のナンバリング作になってしまっている本作は、2013年度末のリリース。
この作品はカプコンにとって旧世代機 ( PS3 ) 最後のタイトルで、以降は次世代機 ( PS4 ) との縦マルチに移行していきました。その意味で、本作は区切りのタイトルと言えます。
ちなみに戦国BASARAは国内特化のIPのようで、Metacritic上ではスコアすらついていませんでした。
戦国BASARA4と同じく2013年度末に駆け込んだタイトル。PS4ローンチタイトルでもあります。
1989年リリースのアーケードタイトルの最新作で、本作はリブートの位置づけです。Double Helix Gamesという海外デベロッパーが制作した、ミドルプライス帯の一作。ジャンルはメトロイドヴァニアのようです。
ストⅣの最終アップデート版タイトル。ちなみにストⅤはこの2年後に出ます。
半年前にリリースされたストライダー飛竜の方はPS3・PS4同発の縦マルチだったのに、ウルⅣはPS3先行・PS4後発の縦マルチとなりました。
デッドライジングは主に海外で人気のIPで、ナンバリング3作目である本作はXBOX ONEのローンチタイトルとなりました。
ちなみにXBOX ONEは海外では2013年発売 / 日本では2014年発売でした。必然、本作のリリースも海外から1年遅れとなりました。
2014年は携帯機向けにモンハン4Gもリリースされました。また過去作アーカイブで言うと、バイオHDリマスターがリリースされたのもこの年でした。
カプコンは主要IPの過去名作を掘り起こして積極的にsteamにリリースしていっています。この積極的なアーカイビング方針は本当に素晴らしいです。以降、ほぼ毎年のように過去作アーカイブは進行していきます。
2015年【PS4 2年目】
2014年度末駆け込みタイトル。バイオリベシリーズの2作目ですが、同シリーズは本作を最後に休止してしまっています。
この頃のバイオシリーズは、次のメインナンバリング作である「7」で確実にシリーズを立て直すための「溜め」の期間にいたと思われます。本作は「7」までの空白期間を埋めました。
ちなみに前作であるバイオリベ1は「ニンテンドー3DSでリリース ⇒ その後にHD化」でしたが、本作リベ2では最初から据置機向けの展開でした。携帯機重視から据置機へ回帰する流れです。
2015年は携帯機向けにモンハンX・大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-もリリースされました。また、追加要素込みの移植版としてDMC 4 Special Editionもリリース。
さらには、カプコンとしては珍しいMMOであるドラゴンズドグマ オンラインがリリースされたのもこの年です。4年間運営されましたが、2019年末にモンハンFとほぼ同時にサービス終了しています。
2016年【PS4 3年目】
2015年度末駆け込みタイトル。PS3世代にリリースされた「Ⅳ」に続くナンバリング作として期待を背負って登場。「ストⅣ」はPS3、「ストⅤ」はPS4、「スト6」はPS5と、世代毎にナンバリングが進んでいます。
ちなみに本作「Ⅴ」の目玉はクロスプラットフォーム対戦でしたが、その犠牲のためか対応機種は絞られ気味でした。
当時NHK大河ドラマ「真田丸」が放送中だったこともあってか、この年に戦国BASARA ( とコーエーの戦国無双 ) は真田の冠を付けた新作をリリースしました。
戦国BASARA 烈伝シリーズと銘打った1作目でしたが、本作を最後に戦国BASARAシリーズのゲームタイトルは休止してしまっています。
戦国BASARA同様、デッドライジングシリーズの方も本作を最後に休止状態になってしまいます。国内特化IPの戦国BASARAと、海外特化IPびデッドライジングがほぼ同時に休眠…。
以降8年間ほぼ音沙汰無しでしたが、デッドライジングの方は2024年になって「1」のデラックスリマスターが発表され、復活の兆しアリです。
なお本作「4」は当初コンソールとしてはXBOX独占でしたが、翌年にアップデート版「DEAD RISING 4 Special Edition」がPS4向けにリリースされています。
2016年は携帯機向けに逆転裁判6・モンスターハンター ストーリーズといったタイトルもリリースされました。
またこの年は過去作アーカイブが一気に進み、バイオ0HDリマスター・バイオ4・5・6・ロックマン クラシックス コレクション・デッドライジング1・2といったタイトルがPC・現世代機 ( PS4 ) 向けにリリースされました。
2017年【PS4 4年目】
2016年度末駆け込みタイトル。バイオシリーズは「4」以降アクション性が高まっていき恐怖演出が弱くなってしまっていましたが、本作「7」はしっかり怖いバイオで、原点回帰を果たしました。
カプコンは決算報告などで「高品質タイトルの長期販売」を掲げていますが、本作は正にその戦略を体現したタイトルです。2017年度~2023年度までの8年間、毎年100万本以上売れています。
また本作はREエンジンが採用された初めてのタイトルでもあります。本作以降「高品質タイトル」が毎年のようにリリースされていきますが、そのほとんどがREエンジンで開発されています。
2017年は携帯機向けにモンハンXX・大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-がリリースされました。また、過去作アーカイブとしてロックマン クラシックス コレクション 2もリリース。
旧世代機 ( PS3 ) のみでの展開だったDragon’s Dogma Dark Arisen・大神 絶景版・バイオリベ1は、この年にPC・現世代機 ( PS4 ) 向けに移植。こうした比較的新しい作品群も、しっかりアーカイブ化されていきます。
2018年【PS4 5年目】
2017年度末駆け込みタイトル。モンハンは「藤岡元D – 徳田現Dによるハイエンドシリーズ」と「一瀬Dによる遊びやすさ重視シリーズ」が混在していますが、本作は前者のナンバリング作 ( 5相当 ) です。
カプコン史上最も売れたタイトルです。2024年3月期決算時点で、なんと2530万本売れたとされています。
前年に任天堂が3DSからSwitchに移行したこともあって、2018年はとうとう携帯機向けのリリースが無くなりました。
過去作アーカイブとしてはロックマンX アニバーサリー コレクション1・2・ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル・カプコン ベルトアクション コレクション・DMC HDコレクション ( 1・2・3セット )・鬼武者 ( HDリマスター ) と、かなりの数のタイトルがリリースされました。
2019年【PS4 6年目】
2018年度末駆け込みタイトル。4~3年前にはバイオ1・0・4・5・6が一斉にアーカイビングされ、2・3のみ放置されていました。おそらく4~3年前から本作「RE2」と次作「RE3」は制作されていたのでしょう。
2年前にバイオ7でシリーズを立て直したところに、立て続けに最高クオリティの本作「RE2」がリリースされたことで、バイオIPは完全に息を吹き返しました。
2018年度末駆け込みタイトル。前作「4」はPS3でリリースされ、その後PS4向けに移植されました。PS4でリリースされた本作「5」も、後にPS5向けに移植されます。
前作「4」のディレクターは伊津野氏。ドラゴンズドグマのディレクションで一旦DMCから離れますが、ドグマリリース後に戻ってきて本作「5」もディレクションしました。
モンハンはこれまで本編リリース後にアップデート版の「G」をリリースしていましたが、本作アイスボーンからは追加有料DLCの形態に移行しました。
2019年に過去作アーカイブとしてリリースされたのは逆転裁判123 成歩堂セレクションのみ。新作・過去作合わせても、ソフトラインナップが少ない年でした。
2020年【PS4 7年目】
2019年度末駆け込みタイトル。前年にiOS向けにリリースされた水中メトロイドヴァニアのSwitch版移植。
ちなみに本作のディレクターを務めた川田氏は、4年後に「祇(くにつがみ):Path of the Goddess」をリリースします。「深世海」と「祇」はアートと作品タイトルがどことなく似ていますね。
前作「RE2」から1年少しでリリースされた本作「RE3」は、本編のボリューム不足などいくつかの理由により評価が低いです。
本作はカプコンと、K2というカプコン子会社による共同開発。カプコン作品の「開発協力」としてクレジットされることが多いK2ですが、「RE3」と「RE4 DLC ( SEPARATE WAYS ) 」では共同開発と銘打たれています。
2020年は過去作アーカイブでロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクションがリリースされました。また次世代機 ( PS5 ) 向けにDMC 5 Special Editionが移植されました。
アップデート版としてストリートファイターV チャンピオンエディションがリリースされたのもこの年です。スト6はこの3年後にリリースされます。
2021年【PS5 1年目】
2021年はモンスターハンターストーリーズ2 〜破滅の翼〜もSwitch・PC向けにリリースされています。
また、過去作アーカイブとしてカプコンアーケードスタジアム・帰ってきた 魔界村・大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-もリリース。
2022年【PS5 2年目】
この年は珍しく、2021年度末に駆け込んだタイトルがありませんでした。本作「サンブレイク」はモンハンライズの大型有料DLCとして2022年度の第1四半期末にリリース。
2022年は過去作アーカイブとしてカプコン ファイティング コレクション・カプコンアーケード2ndスタジアムもリリースされました。この年は特にソフトラインナップ弱かった年でした。
2023年【PS5 3年目】
2022年度末駆け込みタイトル。昨年のラインナップがDLCと過去作アーカイブのみと弱かったため、本作「RE4」の年度内リリースは絶対目標だったと思われます。
バイオのナンバリングの中でも特段の人気を誇る「4」のリメイクとあってハードルが上がっていましたが、そのハードルにしっかり応えた素晴らしい作品でした。
7年ぶりのナンバリング最新作。格闘ゲームはコマンド入力の敷居が高く初心者が少なかったのですが、プレイ人口拡大を狙った「モダン操作」が革新的でした。
当初の宣伝では一人用プレイモードの充実ぶりをアピールして新規に訴求していましたが、むしろストリーマーの影響でグッとプレイ人口・観戦人口が増えた印象です。
カプコンにとって挑戦だった新規IP・ライブサービス型タイトル。
売上的には厳しい結果となりましたが、決算質疑によるとクロスプラットフォームプレイやサーバー負荷など、今後の新作に向けた習作でもあったそうです。
2023年は過去作アーカイブとしてロックマンエグゼ アドバンスドコレクション・GHOST TRICKもリリースされました。
2024年【PS5 4年目】
2023年度末駆け込みタイトル。ディレクターは伊津野氏が1から続投。主にPC版の最適化不足で発売当初は不評の声が多かったのですが、その後のアップデートで事態は沈静化した印象です。
SIEのRise of the Roninと発売日が同じとあって話題になりましたが、マルチプラットフォームで展開した本作の方が売上的には勝ちました。
4年前の「深世海」スタッフによるミドルプライス帯の一作。タワーディフェンスの要素があるアクションストラテジー。
2024年は過去作アーカイブとして逆転裁判456 王泥喜セレクション・逆転検事1&2 御剣セレクション・Marvel vs Capcom Fighting Collection: Arcade Classicsがリリース ( 予定 ) 。
さらには8年前に携帯機向けにリリースされたモンスターハンター ストーリーズのPC・現行機向け移植や、もはやリメイクレベルのDEAD RISING DELUXE REMASTERもリリース ( 予定 ) 。
カプコンのラインナップまとめ
カプコンのラインナップを年ごと・年度ごとにまとめてみました。ほとんど間違い探しレベルですが、上の表が「年ごと」、下の表が「年度ごと」の整理です。
ナンバリング相当のメインタイトルは太線で、そうでないタイトルは細線で囲っています。モンハンの「G」相当タイトルはカプコンにとって重要な弾になっていますので、太線囲いにしました。
バイオとモンハンはほとんど毎年のようにタイトルをリリースしていることが見て取れます。ストリートファイターは、これまでの傾向から次世代機までライブサービス型タイトルとして手堅く運営されるでしょう。
ロックマンやDMCなどのIPは新作リリースの展開が遅いですが、前作から期間も空いているので動きがあるのではないかと思います。特にDMCは、ドグマ2をリリースした伊津野Dがまた戻ってきてDMC6に着手する気がします。
2024年度は今のところラインナップが弱いですが、モンハンワイルズが2025年1月~3月のリリースだと予想します。ほぼ間違いないかと思います。
こうして振り返ってみると、改めてカプコンのラインナップの強さが分かります。今後も期待しています。
以上です!